2026年、クラシック戦線の主役候補として、その名が囁かれない日はない馬がいる。 エムズビギン。 父キタサンブラック、母の父ガリレオという、日英の至宝を掛け合わせた血統背景。 そして何より、セレクトセールで歴代2位の5億9000万円という天文学的な取引価格が、彼の背中には常に張り付いている。 デビュー前から過熱する周囲の期待と、それが生み出す巨大なプレッシャー。 しかし、きさらぎ賞を目前に控えた今、栗東のトレーニングセンターで見せる彼の姿からは、そうした雑音が削ぎ落とされ、競走馬としての純粋な野生が目覚めつつある気配が漂う。 エムズビギンの注目ポイント デビュー戦の2着や、まだ荒削りなレースぶりを見て「価格に見合っていないのでは」「成長が遅いのではないか」という不安の声も聞かれる。 しかし、今回に限って言えば、そうした表面的な評価は一度脇に置くべきかもしれない。 「馬体の緩さ」や「フォームの未完成さ」が、ここへ来て急速に改善されているという事実だ。 世間の「違和感」は、もしかすると巨大な才能がその器に収まりきろうとする、成長痛のようなものだったのかもしれない。 エムズビギン 最新の状態(きさらぎ賞直前) : 最終追い切り(2/4 栗東ポリトラック):6F 85.3 – 1F 11.4秒。馬なりで軽快な動き。 1週前追い切り(1/28 栗東CW):6F 81.5 – 1F 11.4秒(※一部報道ではラスト10秒9とも)。鋭い伸びを見せる。 陣営コメント(友道調教師):「走りのバランスが良くなった」「フォームが良くなった」「無理せず動けている」と成長を強調。 騎手コメント(川田騎手・1週前):「体が起きてバランスのいい走り」と評価。 基本情報 : 血統:父キタサンブラック、母デルフィニアⅡ(母父Galileo)。 馬体:500kgを超える雄大な黒鹿毛の馬体。 過去実績:2戦1勝。デビュー戦は2着に敗れるも、続く未勝利戦で力強く勝ち上がり。 今回の事象から見えてくるエムズビギンの注意点と次の見方 ・ 視点の再構築 : エムズビギンに対する「ゲートが遅い」「完成度が低い」という指摘は、裏を返せば「それでも勝ち上がるだけの絶対能力がある」という証明でもある。友道調教師が繰り返す「バランスの改善」という言葉は、これまで力任せだった走りが、効率的な推進力へと変わりつつあることを意味する。単なる素質馬から、勝負強い競走馬への変曲点にいるのが今の彼だ。 ・ 未来への視点 : きさらぎ賞は、急速に整いつつある彼の肉体が、その莫大な潜在能力に追いついたかどうかを確認する重要な試金石となる。